高級時計コレクションボックス"SCATOLA del TEMPO"は、時計収集家として名高いサンドラ・コラリエティによって1980年代後半に誕生しました。それは彼の従来のビジネスを拡大することではなく、彼の趣味が昂じて、また数多くの高級時計を収集している時計愛好家の一人としての必然性からによるものでした。

彼の所有している高級時計の保管に相応しい収納箱を創る為、まず超一級の皮革職人と素材を探し求め、数個の箱を創りました。彼はそれを彼と同じ要望を持っていた数人の時計愛好家仲間にもプレゼントしました。驚くべきことに、その収納箱の素晴らしさが口コミで広がり同じ収納箱が欲しいというリクエストが多くの時計愛好家から寄せられました。

この様にして"Made in Italy"の最高級ウォッチコレクションボックス"スカトラ・デル・テンポ"が自然発生的に誕生したのです。現在では真の本物を求める世界各国のウォッチコレクターに愛用されています。

生産工程は、収納箱に収納されるであろうマスターピースを想定し、どんな時でもその逸品を安全に保管することができるよう、まず時計収納分の形作りから始まります。その収納部
は吸収性のある素材でカバーされ、そしてテキスタイル部門でも名高いコラリエティファミリーが自信をもって生産する最高級のジャガードシルクで覆われ内装が完成します。次に、昔ながらの自然な方法で揉された選りすぐりのレザー、或いはバラの木の茎を外装に使用し、時計を酸化させる心配のないニス塗料を用い外装が作られます。最後に、特別にデザインされた留め金具やジッパーが取り付けられ全てが仕上げられます。これらの大変デリケートな作業の全ては熟練職人の手作業で精魂込めて一つ一つ丹念に行われます。

ウォッチワインダーのアイディアは1990年に遡ります。コラリエティは着用せず長期間保管している自動巻時計を常に作動させ、その精度維持をさせる為、回転するウォッチホルダーを考案しましたが、そのアイディアは常時作動させておく必要のあるパーペチュアルカレンダーウォッチの保管に最も適したものでした。


コラリエティファミリー

それまでは、この様な自動巻き上げ機は一般に市販されておらず、コラリエティは旅行時も携帯できるコンパクトモデル"1RT"を最初に開発しました。この画期的なアイディアと優れた性能はスイス高級時計メーカーの間で大反響を巻き起こし、永久カレンダー時計用ボックスとして競って用いられました。

パテック・フィリップ社は真っ先にその高級時計のレンジに使用しました。このウォッチワインダーには高精度のマイクロ・ローターが備えられ、休止時間のインターバルを挟み、時計/反時計回転の自動反復がマイクロプロセッサーによってコントロールされています。そして、ACアダプター或いはアルカリバッテリーでの使用が可能です。

ウォッチワインダーの生産工程はかなり複雑です。エレクトロニクス・コントロール部品はスカトラ・デル・テンポ専属のスペシャリストによって特別に製作されています。モーターはスイスで生産されており、その特徴は磁力発散を極力抑えた低消費電力と非常に高い信頼性です。

ブラスギヤーやムーブメントの全てが見えるシリーズもまた、スイスで作られています。これらは、かつてトゥールビヨンムーブメントのデイリーケージなどの製作に携わっていた優秀な職人によって作られている為、その組立ての精密さと正確さは保証されています。

全てのモデルの最終工程は、機械部分の作動や、使用されている素材(ブラス、バラの木の茎、レザー、シルク)のクオリティコントロールを含め、常にイタリアで行われます。

スカトラ・デル・テンポはこの様な基本的概念に基づいて製作されており、その構造やデザイン面ではこれ以上進歩の余地がないほどに完成されています。優秀な職人の確保から、最高級素材の調達、クラスプの取付けや外部レザーの仕上げ、ローター部等メカニカルな部分の一つ一つパーツの細部に至るまで細心の注意と責任感、そしてその仕事に携わることへの誇りを持って製作されています。